野菜の旨味成分とは?多く含まれる野菜や特徴、調理のコツもご紹介2023.10.13
メディアなどでよく「旨味」という言葉を耳にする機会がありますが、美味しさと関わり合いがあることはわかっていても実は詳しいことはわからないという方も多いのではないでしょうか。旨味成分というとまず昆布やかつお節が思い浮かぶかもしれませんが、実は野菜にも旨味成分を多く含むものがあります。
この記事では、旨味成分の正体や、旨味成分を多く含む野菜や調理のコツについて解説していきます。
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食材に含まれる主な旨味成分は3種類
旨味成分とは、食材に元々備わっている旨味のもととなる成分のことです。この成分は、人間が持つ旨味を感じる味覚センサーに刺激を与えて、食材の美味しさや風味を引き立てる効果があります。食材に含まれる主な旨味成分は、以下の3種類です。
- グルタミン酸
- イノシン酸
- グアニル酸
一つずつ詳しくみていきましょう。
グルタミン酸
グルタミン酸はアミノ酸の一種で、食品に含まれる旨味成分の中で最も多く含まれている成分です。体内で生成される必須アミノ酸の一つでもあるため、エネルギー代謝などさまざまな体の機能に深く関わる重要な成分です。食品添加物として調味料に使用されることもあります。
イノシン酸
イノシン酸は、肉や魚、干ししいたけや昆布などに含まれる核酸の一種です。イノシン酸は加熱や乾燥によって旨味のもととなる「イノシン酸ナトリウム」に変化します。多くのうま味調味料の製造に用いられており、グルタミン酸と組み合わせることでより強い旨味が得られるという特徴があります。しかし、過剰に摂取すると痛風の原因となる可能性があるため、注意が必要です。
グアニル酸
グアニル酸は、主に干ししいたけや海苔などに含まれる天然の旨味成分です。イノシン酸と同じく他の旨味成分と組み合わせることでより強い旨味が得られます。
旨味成分を多く含む野菜
ここからは旨味成分を多く含む野菜をご紹介します。
トマト
トマトには、グルタミン酸が豊富に含まれており、熟すにつれてグルタミン酸の量が増えていくのが特徴です。トマトを乾燥させたドライトマトは、水分が抜けることで凝縮されてさらにグルタミン酸の量が多くなります。また、干すことでグアニル酸が生成されるため、より強い旨味が感じられます。
とうもろこし
とうもろこしには、グルタミン酸が多く含まれています。とうもろこしが甘くて美味しいのは、グルタミン酸と甘味成分のスクロースによるものです。収穫後は甘味・旨味成分が著しく低下するため、早めに食べた方が美味しくいただけます。
グリーンピース
グリーンピースはエンドウ豆の未熟な豆を食用にしたもので、さやの部分のグルタミン酸が多く含まれています。さやは硬く食べることはできませんが、豆ごはんを炊く際に一緒に入れると旨味がグンとアップします。グリーンピースは収穫後甘みや旨味が急速に低下するため、さやつきのまま保存し、できるだけ早く食べるようにしましょう。
れんこん
れんこんにはグルタミン酸やビタミンCが多く含まれています。地下茎のためデンプンも多いのが特徴。きんぴらや煮物、酢の物などに向いています。
ニンニク
ニンニクは独特の辛味と香りを持つユリ科ネギ属の多年草で、グルタミン酸が豊富です。料理のジャンルを問わず幅広く利用され、和食では主に薬味として使われます。
白菜
白菜は淡泊な味ですが実はグルタミン酸が豊富で、他の食材とかけ合わせることで旨味が増幅します。鍋物や漬物、炒め物などに幅広く利用されます。
春菊
菊に似た独特の香りが特徴の春菊は、グルタミン酸が多く含まれる他、カリウムやカルシウム、鉄、カロチンも豊富な栄養満点の野菜です。鍋物に利用されることが多いですが、柔らかい葉の部分はサラダで食べるのもおすすめです。
玉ねぎ
独特の香りが特徴の玉ねぎにはグルタミン酸が豊富に含まれており、煮込むと全体に旨味が広がります。香りの元である硫化アリルや硫化プロピルにはビタミンB1の吸収を助ける働きがあります。
長ネギ
辛味や独特の香りが特徴の長ネギにもグルタミン酸が含まれています。熱を通すと甘みが増し、さまざまな食材と相性が良いためジャンルを問わず幅広い料理に利用されています。
にんじん
カロチンが多く含まれることで知られるにんじんも、実はグルタミン酸が豊富な野菜です。どんな調理方でも美味しく食べられるので幅広いジャンルの料理に活用されています。スープや煮物にするとグルタミン酸が汁に溶け出るので全体の旨味がアップしますが、茹でて食べる場合は逆に旨味が減ってしまいます。
シンプルに火を通して食べる場合は茹でるよりも蒸した方がグルタミン酸の溶出を防ぐことができます。
ブロッコリー
ブロッコリーはキャベツの変種で、つぼみと茎の部分を食べる洋野菜です。つぼみにも茎にもグルタミン酸が含まれており、ビタミンや食物繊維、鉄分が豊富なのが特徴です。肉や魚介類と相性が良く、さまざまな調理法で幅広い料理につ使われます。
旨味成分は組み合わせると旨味が増す
旨味成分は、単独で使うよりも組み合わせることで旨味をアップできます。組み合わせ方は、アミノ酸であるグルタミン酸と、核酸系のイノシン酸やグアニル酸を合わせるのが効果的です。昆布とかつお節からとる合わせ出汁は、グルタミン酸が多く含まれル昆布と、イノシン酸が豊富なかつお節を組み合わせている代表的な例と言えるでしょう。
野菜の旨味を知って美味しく食べよう
旨味成分は、単に美味しさをアップさせるだけでなく食欲増進の効果もあるため、栄養学の観点からも注目されています。旨味成分の特徴や旨味成分を多く含む野菜を上手に活用し、毎日の食事をより美味しく充実したものにしましょう。